「自分は将来いくら年金がもらえるのか?」これは多くの人が気になるテーマです。実は、現役時代の年収によって、将来受け取れる年金額は大きく変わります。本記事では、年収と年金の関係を解説し、年収別の年金額シミュレーションを行います。
日本の年金制度の基本
日本の公的年金制度は「2階建て」と呼ばれる構造になっています。
1階部分:国民年金(基礎年金)
20歳から60歳までの全国民が加入する年金です。保険料は定額で、満額納付すると年間約79万円(2025年度)を受け取れます。年収には関係なく、加入期間によって金額が決まります。
2階部分:厚生年金
会社員・公務員が加入する年金です。ここが重要で、現役時代の年収(標準報酬月額)によって金額が変わります。年収が高いほど保険料も高くなりますが、将来受け取る年金も増えます。
年収が年金額に与える影響
厚生年金の受給額は、以下の計算式で決まります:
厚生年金額 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
つまり、生涯を通じた「平均的な年収」が高いほど、年金も多くなります。給与指数ジャパンのデータによると、全国平均年収は458万円ですが、この年収を40年間維持した場合の厚生年金は、月額約10万円となります。
年収別・年金額シミュレーション
40年間働いた場合の年金額目安を、年収別に見ていきましょう(65歳からの受給、2025年度の計算式に基づく概算)。
年収300万円の場合
- 国民年金(基礎年金):月額約6.5万円
- 厚生年金:月額約6万円
- 合計:月額約12.5万円(年間約150万円)
年収450万円(平均)の場合
- 国民年金(基礎年金):月額約6.5万円
- 厚生年金:月額約10万円
- 合計:月額約16.5万円(年間約198万円)
年収600万円の場合
- 国民年金(基礎年金):月額約6.5万円
- 厚生年金:月額約13万円
- 合計:月額約19.5万円(年間約234万円)
年収800万円の場合
- 国民年金(基礎年金):月額約6.5万円
- 厚生年金:月額約16万円
- 合計:月額約22.5万円(年間約270万円)
年収1,000万円の場合
- 国民年金(基礎年金):月額約6.5万円
- 厚生年金:月額約18万円
- 合計:月額約24.5万円(年間約294万円)
※厚生年金には上限があるため、年収が高くなるほど増加幅は緩やかになります。
年金だけでは足りない?老後の必要資金
「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、実際に必要な老後資金を考えてみましょう。
老後の生活費の目安
- 最低限の生活費:月22万円(年間264万円)
- ゆとりある生活費:月36万円(年間432万円)
年金との差額
年収450万円(平均)の人の年金が月約16.5万円とすると:
- 最低限の生活との差:月5.5万円(年間66万円不足)
- ゆとりある生活との差:月19.5万円(年間234万円不足)
65歳から90歳まで25年間生きると仮定すると、1,650万円〜5,850万円の不足となります。
老後資金を準備する方法
年金だけに頼らず、現役時代から準備を進めることが重要です。
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)
掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税。会社員は月額2.3万円まで拠出できます。30年間月2万円を積み立て、年利3%で運用すると、約1,160万円になります。
2. つみたてNISA
年間40万円まで、運用益が非課税。長期投資に適した投資信託に積み立てることで、資産形成ができます。
3. 企業年金・退職金
勤務先に企業年金や退職金制度がある場合は、これも老後資金の一部になります。制度内容を確認しておきましょう。
4. 副業・資産運用
現役時代に副業で収入を増やし、その分を投資に回すことで、老後資金を効率的に準備できます。
年収を上げることの長期的メリット
年収を上げることは、現在の生活だけでなく、将来の年金額にも直結します。
例えば、年収を450万円から600万円に上げて20年間働くと:
- 20年間の収入増加:3,000万円
- 年金の増加:月額約3万円(年間36万円、25年で900万円)
- 合計で約3,900万円の差
給与指数ジャパンで自分の市場価値を確認し、年収アップを目指すことは、老後の生活にも大きな影響を与えます。
まとめ
現役時代の年収は、将来受け取る年金額に直結します。年収450万円で40年間働いた場合、年金は月約16.5万円。これだけでは老後の生活費を賄うのは難しいため、現役時代からの準備が重要です。
年収を上げることは、現在の生活を豊かにするだけでなく、将来の年金増加にもつながります。給与指数ジャパンの給与計算ツールで自分の市場価値を確認し、キャリアアップと資産形成を両立させましょう。