「スタートアップで働くと大金持ちになれるかもしれない」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。一方で「給料が安い」「すぐ潰れる」というイメージも根強くあります。本記事では、スタートアップ企業の年収実態と、リスク・リターンのバランスについて、データに基づいて徹底解説します。
スタートアップの年収実態:大企業との比較
スタートアップの年収は、企業のステージや資金調達状況、職種によって大きく異なります。2025年時点での一般的な傾向を見てみましょう。
スタートアップのステージ別年収目安:
- シード期(創業〜シリーズA前):大企業比70〜85%(年収400〜600万円)
- アーリー期(シリーズA〜B):大企業比80〜95%(年収500〜800万円)
- ミドル期(シリーズC以降):大企業比90〜110%(年収600〜1,000万円)
- レイター期(IPO準備中):大企業比100〜120%(年収700〜1,200万円)
早期ステージほど給与は低い傾向にありますが、その分ストックオプションの割当が大きくなります。また、CxOや経営幹部クラスでは、大企業を上回る年収が提示されることも珍しくありません。
給与指数ジャパンの年収計算ツールで同業種の大企業年収を確認し、スタートアップの提示額と比較してみてください。
ストックオプションの価値:夢か幻か
スタートアップの報酬で重要なのが、ストックオプション(新株予約権)です。これは、将来一定の価格で会社の株式を購入できる権利であり、IPOやM&Aの際に大きな利益をもたらす可能性があります。
ストックオプションのメリット:
- IPO時に数百万〜数億円の利益を得られる可能性
- 会社の成長に対するインセンティブになる
- 税制優遇(税制適格ストックオプションの場合)
ストックオプションの現実:
- スタートアップの約90%は失敗する(価値がゼロになる)
- IPOまでに平均7〜10年かかる
- ベスティング期間(通常4年)を満たす前に退職すると権利を失う
- IPO前に転職すると、行使に資金が必要な場合がある
ストックオプションの価値計算例:
仮に、時価総額100億円で評価されている会社で0.1%のストックオプションを持っていた場合、理論上の価値は1,000万円です。しかし、これはIPOやM&Aが成功した場合の話であり、多くの場合は価値がゼロになることを理解しておく必要があります。
スタートアップで働くメリットとデメリット
金銭的な報酬だけでなく、スタートアップで働くことの総合的なメリット・デメリットを理解しましょう。
メリット:
- 急速なキャリア成長:裁量が大きく、多様な経験を短期間で積める
- 経営に近いポジション:意思決定プロセスに関与できる
- 大きなリターンの可能性:IPO成功時の金銭的リターン
- フラットな組織文化:年功序列がなく実力で評価される
- 社会へのインパクト:新しい価値を創造する実感
- 柔軟な働き方:リモートワークやフレックスが普及
デメリット:
- 雇用の不安定さ:資金ショートや事業撤退のリスク
- 給与の低さ(初期):特にシード期は市場平均以下
- 長時間労働:リソース不足で一人が多くの役割を担う
- 福利厚生の薄さ:大企業のような制度がない場合も
- キャリアの不透明さ:会社自体の存続が不確実
- ストレスの多さ:常に変化とプレッシャーにさらされる
スタートアップ転職を成功させるための選び方
すべてのスタートアップが同じではありません。成功の可能性を高めるために、以下のポイントで企業を見極めましょう。
1. 資金調達状況を確認する
直近の資金調達額、投資家の顔ぶれ、ランウェイ(資金が尽きるまでの期間)を確認しましょう。シリーズB以降で、著名VCが投資している会社は相対的に安定しています。ランウェイが1年以上あるかは重要なチェックポイントです。
2. 経営チームの実績を調べる
創業者や経営陣の過去の実績(起業経験、Exit経験、業界での評判)は成功確率に大きく影響します。シリアルアントレプレナー(連続起業家)が経営する会社は成功率が高い傾向にあります。
3. 事業の成長性と市場を分析する
TAM(獲得可能な最大市場規模)、競合状況、ビジネスモデルの持続可能性を確認しましょう。成長市場で明確な競争優位性を持つ会社を選ぶことが重要です。
4. カルチャーフィットを確認する
少人数の組織では、カルチャーとの相性が働きやすさを大きく左右します。面接では、実際に働くメンバーと話す機会を設けてもらいましょう。
スタートアップからの転職価値:キャリアへの影響
スタートアップでの経験は、その後のキャリアにどのような影響を与えるのでしょうか。
プラスの影響:
- 幅広いスキルセットが身につく(T型人材になれる)
- 意思決定力・実行力が鍛えられる
- 事業を「0から1」で作った経験は高く評価される
- スタートアップ界隈での人脈ができる
- 次のスタートアップや起業への道が開ける
注意すべき点:
- 大企業への転職では、組織マネジメント経験が問われることも
- 短期間で複数社を渡り歩くとジョブホッパーと見なされるリスク
- 失敗したスタートアップでの経験をどう説明するかが重要
一般的に、スタートアップでの経験は転職市場で高く評価されます。特に、具体的な成果(売上成長、チーム構築、プロダクト開発など)を示せると強みになります。
年代別スタートアップ転職の考え方
スタートアップへの転職は、年代によって考え方が異なります。
20代:
リスクを取りやすい時期。給与が多少低くても、成長機会と経験を優先する価値があります。失敗しても取り返しがつく年代なので、積極的にチャレンジすることをお勧めします。
30代:
専門性と経験を活かして、マネージャーや事業責任者として参画するケースが多いです。シリーズB以降の安定したスタートアップを選ぶことで、リスクとリターンのバランスを取れます。
40代以降:
CxOや顧問として参画するケースが一般的。豊富な経験を活かせる一方、給与は前職水準以上を確保しつつ、ストックオプションで上振れを狙う戦略が現実的です。
まとめ:自分のリスク許容度を知ることが大切
スタートアップは、大企業では得られない経験と成長機会、そして大きな金銭的リターンの可能性を秘めています。一方で、失敗のリスクも高く、給与面では特に初期は不利になることもあります。
重要なのは、自分のリスク許容度とキャリア目標を明確にすることです。以下の質問に答えてみてください:
- 給与が下がっても、成長機会を優先できるか?
- 会社がなくなるリスクを受け入れられるか?
- 変化とプレッシャーの多い環境で力を発揮できるか?
- 5〜10年後にどうなっていたいか?
まずは給与指数ジャパンの年収計算ツールで、現在の市場価値を確認しましょう。大企業での年収相場を把握した上で、スタートアップの条件と比較検討することが、後悔のない選択につながります。